東京都新宿ライブハウス・マーズ ファンクラブ企画ライブ
新宿MARZ「小さな音楽会」Vol.1(長文です)


今回のライブ、100人前後限定のファンクラブ企画。
こじんまりとしている会場内、一番後ろにいても10列めの座席。
音響も照明もライブハウスのレベルを超えた環境に期待。
知可子さん、小野澤さん、林さんの他に、バイオリンに岡村美央さん。
歌手、演奏者が一体感に身近に感じられるこの時を迎えて。
1部と2部の構成。1部では、自分より年上の世代をみかけ、2部では自分より若い世代をおおく見かけました。
ここに書くものは、1部と2部を合わせたもの、どちらにも共通しているのは、観客を魅了し沢田知可子の世界へと導くこと。
初めて聴く人、ヘビーなファンとの聴く側のそれぞれがありました。
こんな表現を後から感じて、沢田知可子の世界を感じてより深く心に刻まれて、余韻をいつまでも消えずにいたのでした。
小さな音楽会、カバー曲が中心のライブ。 何を歌ってくれるのだろう。
そう思いながら席に座り待つ。 今日も、無限に広がる可能性に期待と希望を託して。
初めに映し出された映像、アルバム「ラプソティー」挿入曲の「会いたい」のストリングスバージョンの収録風景が映り、
知可子さん、今回の「会いたい」をアレンジしてくれた、千住明 氏が演奏を担当してくれた、
現役の芸大の学生のみなさんが、それぞれの思いを込めて作り上げて行く。
知可子さんが感極まって流す涙、これだけでも十分になり、心の扉を開けられた感じ。
そう、これから始まることを予感出来ずに。 演奏が始まり、聞き覚えのあるイントロ。
小野澤さんのピアノが きっかけとなり、知可子さんの歌声を続く。
ここで書きたいことは、岡村美央さんの弾くバイオリンの効果。いままでも十二分だけど、また厚みが出て心に誘惑を受けたのでした。

中島みゆきさんの「時代」
「ひとり上手」が好きで、アルバムをいくつか聴き、自身の世界を持ち続け、今も変わらない楽曲を作る。
知可子さんのアルバムの中で「UTATANE」を一番良く聴き、違う アーチストたちの代表する楽曲を、
オリジナルを崩さずに知可子流に味付けをし、いつしかとりこになったのです。もちろん、比較ということもありますが、
きっけとなり元歌の歌手を聴いたり、その歌手の別の歌を聴いたりと、つながりが出来ました。
カバーアルバム全盛だけど、それぞれの歌い方もあるけど、やっぱり沢田知可子ほど歌い上げる歌手は、いない気がしてます。
知可子さんより一つ年下の自分ゆえ、世代としては共通する楽曲が歌われると想像してましたが、意外な展開が始まるとは。

小林明子さん「恋におちて」
自分は、知可子さんのデビュー曲の ようなせつなさを表す楽曲に反応してしまうゆえ、方向はどこへと戸惑いが。
ここから自分の中でスイッチが入り、一気に沢田知可子の世界へと自ら飛び込んでいた。いつもは、ゆっくりと少しづつなのに。
「オリビアを聴きながら」この楽曲、ほんと個人の思いとしては、あの尾崎亜美さん以外は歌えきれないとかたくなに信じていました。
初めて買ったアルバムが彼女のサードアルバム。のちにテレビの生番組でこの楽曲を歌い上げる姿をが離れなくなり、
頑固なまでに貫いていました。大好きな知可子さんだから。それは、違う!そんなことを感じる前に体が震えて舞台を見つめる視線が落ち、
これを歌うの?と知可子さんと声にならないくらいの心の叫び。
主人公の女性の心の動きが見えるように、せつなさが募ってくる。
瞳がうるうるとしてきて、この先どうなるのかと不安になって。
歳をとったせいと、言い訳丸出しが妙に恥ずかしくて。

ここで知可子さんのオリジナル「I miss you」を歌う。
ほっとしたと言ったらほんと失礼なんですが、以外性を超えてこれで来るの状態から解放され、
いつものように戻るのと同時に、初めてライブで聴くこの楽曲に聴き入って行く。
限られた時間の中であれこれと欲張るわけにもいかず、こうして聴いたこともないものを聴けるのは、
とても嬉しい限りなのです。このカバーからオリジナルへの変化が、予想を超える展開になる なんて正直想像が出来なかったし、
このライブの趣旨である「泣いて泣いて泣いてそして笑える明日」を怒号のごとく味わうとは
。 小野澤さんのピアノが聴こえて、何の曲だろうと思ってたら、 知可子さんの歌で大好きな
楽曲「恋人と呼ばせて」だった。いつもと違う入り方でその瞬間、頭の中が真っ白になり、何故だか涙が出てきて。
歌って欲しい聴きたいと思っていても今日はカバー中心の構成で、聴けるなんて。
男の自分がこれを聴いて涙するなんて、不思議に思われるかも。
でも、知可子さんの歌声を通して聴くと主人公の気持ちが伝わり、だからいまだに現在の歌声だからこそ、涙腺を刺激するのでしょう。
浦和のディナーショーの時、頂いたデビュー曲なのに、あまりにも せつなくてトイレで泣いてしまったと語ってた。
それだけ感情移入しているから、自分の心にも届くのでしょう。
これからも大切に歌い続けて欲しい、楽曲のひとつなんです。

ここである歌の歌詞を手紙の封を開けて朗読している。
その歌詞は、誰でも一度は聞いたことがあるもの。
そして、会場全体がすすり泣く声、とまらぬ涙へと誘って行く。
「案山子」(かかし)演奏が始まって知可子さんの歌声を聴いた瞬間、あれだけ涙が出ていたのに、
もっともっと溢れて顔を上げても眼元から こぼれてきて、こんなにまでになった自分に動揺し、
周りも同じく心のつぼ に優しさがしみていたよう。

1部も2部も、会場全体が舞台を演じる女優がクライマックスに、やられた感じに。
知可子さんは、そんな姿を見ていてもしてやったりと思わない。
私の歌声でいろんな想いを出してくれたことに、ありがとうと心を込めて歌い、 語りかけてくれたからでしょう。
こんな状態で冷静さを失い、気持ちの切り替えが出来ぬまま時は過ぎて。
スクリーンに映し出された映像。 緑の草原に風が吹き、雄大さの中に心地よさを表している。
知可子さんの歌声。お姉さんが弟を慰めるように、お母さんが母性を感じさせながら、優しく包む。
「さとうきび畑」の歌詞にある、ざわわ~ざわわ~。あのときの異常なまでに盛り上がった気分を
落ち着かせ、少しづついつものように聴けるまで戻してくれた。
同じ楽曲なのに編曲や演奏方法で変わる。 歌手の表現力も試される今回の企画、この楽曲もその一つではと。

「My Revolution」渡辺美里さんの代表曲、元気いっぱいに歌う姿が印象に残ってます。
知可子さんが出した答え。 力強く、早いテンポで歌う美里さんと対照的に、
速度を落としでも歌詞に力を込めていても、力み過ぎないバランスの良さ。
歌手それぞれのタイプとか、いろんな要素があるんだなぁと改めて思い、
次の歌への予告となっていたのでした。
最近の楽曲、世代が違うなどと言い訳してしまう自分。
アイドル歌手全盛に青春時代を過ごした者としては、今の若い世代を羨ましく感じるのです。
歌い出しを聴いて意外な感じる間もなく、林さんのギターが激しく。

ポルノグラフティー「サウダージ」に、いなされた気分に。
こんなにまで激しく歌い上げる知可子さん、自分が聴いた範囲では初めて ではと記憶を探りつつ、
ショックを軌道修正して冷静さを取り戻し、激しさに身を任せるように。
ボーカリストとギターリストとの最高のものを出そうとするあまりの魂の衝突、
林さんの眼が注ぐ勢いを表し、圧倒されている自分。
笑顔の素敵な林さんが、鬼神に魂を奪われたごとく。
ただ、激しいだけじゃなく、歌と技の裏づけされた証あってのことだけど、とんでもない方向へ行くようで怖いくらい。
聴かせる、泣かせる、せつなくさせる、幸せな気分にしてくれる、勇気を くれる、優しさが心を暖かくしてくれる。
沢田知可子の歌声から感じるもの、これまでの楽曲はそれ以外の見せ つける懐の深さを、
多くの引き出しから小出しにせずありのままに。

隠していたらしさを、オリジナルのように見せてくれた楽曲。
MISIA「Eveything」前菜の創作で変化をつけて驚きを与え、メインディッシュ にそっとテーブルに置かれた料理。
変化球から直球への転換、展開に戸惑い続け隠せない。
世代だとかそんな既成概念を取り払い、自身の感性のおもむくままに聴く、
受け止めたときの答えは、こうした心や感情を刺激してくれる。
良い意味での異世代交流。音楽を聴く幅が広がるきっかけになれば。
この3曲の流れは、自身に壁なんか持たずに良いものは良い、好きに なったら
どんどんと受け入れるきっかけを作ってくれました。
女性の心の微妙な動き、さびの部分にある素直な想い、心からの叫び、
女心のせつなさを歌うなら、知可子さんだねと改めて。
きっと、意外だとか思われない選曲、皆さんにも届いたと思います。
沢田知可子の挑戦、これは表現がおおげさかな。

「化粧」えっ、イントロが流れ、知可子さんの歌声が聴こえてはぁ~と ため息が出てしまう。
ここまで、知可子さんのMCがなかったせいじゃなく、どの歌も変な味付けなどをせず、
知可子流へと聴く側に与え、時には翻弄させて戸惑わせ続けて来てたから。これは、悪いということではなく、
懐の深さを泣きたくなるくらいまで惜しげも なく、これでもかこれでもかと。
同じ楽曲を歌い続けていると、変な節回しを付ける歌い方をする。
同じ楽曲でも、若い頃の何々が良かったと思うことがあります。
それは、時が過ぎ、歳を重ねて声とかが変わるのはしょうがないこと。
生きてきた過程とか、出来事を込めるのは別に悪いことじゃなく、 円熟さを増し心に届けてくれるのだから。
知可子さんは、オリジナルを崩さず、知可子流の味付け、妙な味付けはしない。
この「化粧」に関してイメージするのは、女優が舞台で演じる姿。
愛を込めて歌う知可子さんの別な面、情感たっぷりに魂を注ぎ込み、
怖いくらいに主役になりきる。徐々に眼が潤み、そして頬を伝うように涙が。
女性が化粧をすることは、綺麗になるためや違う自身を表現する手段。
時には、日常を離れて気持ちを変える手段でもある。
知可子さんが歌う「化粧」とは、違う沢田知可子を表現する手段なのかも しれない。
だから、挑戦ではなく、変身なんだと。 ここまで、一気に歌いきる。
深呼吸してくださいねと、知可子さん。 息苦しさなんて何もなく、どれもこれも良い意味の戸惑いを与えてくれた。
トップにならなくても、息長くヒットチャートに残った名曲たちを、沢田知可子のフィルターに通してお届けしたいと。
涙腺が刺激されて、顔がぼろぼろになるまで、涙が枯れるまで。もう出ないと思ってたのに。
知可子さん、勘弁してと心が叫ぶ。

カバーから、沢田知可子のオリジナルへと移る。
トップは、名曲「会いたい」会いたいしか多くいらっしゃると言ってたけど、 聴く側はみんな知可子さんの中を泳ぐだけ。
自称ヘビーなファンを、不安なまでに津波が襲うように。
いつ聴いても、何度聴いても、せつなさの中にある愛と想いに翻弄。
この「会いたい」は、どんなに上手な歌手でも、歌い切れない楽曲。 沢田知可子だからこそ、じわじわと有線から火がついたと思う。
知可子さん、会いたいしか知らない人がここに来てくれたのなら、その気持ちに応えて沢田知可子を伝えて。
会いたいに涙出来る人なら、沢田知可子の愛を受け止められるはずだから。
知可子さん、たくさんこの楽曲への思いを語ってくれた。
でも、記憶が飛んでしまった。 初めてこの楽曲の情景設定を聞いたから。
18歳の少年が自殺未遂で病院に担ぎ込まれ、命をなんとかとりとめた彼を見守る友達を歌にしたと。
こうした話を聞いたあとに聴くと、今まで想像して曖昧にしていた部分を鮮明にして、
その中へ入って行けたのです。
1部には、年配の方を多く見かけ、2部では自分よりひとまわり違う年下 世代の方が多くいました。
普段、知可子さんの歌を聴くとは思えない初めて来た方々が、どう反応するのか不安でを感じてました。
じつは、1部で自分の前に50代の夫婦2組がいまして、どうみても初めて来た方々に見受けられました。
自分も、始まれば雑念を払って聞き入るゆえ、特に意識してなかったりですが、ふと視線をおろしたとき光るものが見えたのです。
自分の前に座っていた男性、体を知可子さんの方へ向けて座り、 噛み締めるように確かめるように聴いていた。
眼元の水滴。隣の女性は、とめどもなく流れる涙をハンカチで拭う。
もしかして、この「gift」を聴くためにここに来たのではと思えて。
そう思った瞬間、じわじわと眼元から広がるのを、感じた自分でした。
ひとつの例を取り上げて、そう決めつけることはしたくありません。
沢田知可子ファンであっても、いつも視線は中立に保ち、いろんな角度から見ていたい。
いまでも変わらない、変えない信念。ただ「gift」に関しては、このような場面を眼にする機会が多い。
1部でも、2部でも、共通していたのは、すすり泣く声。ハンカチを持たない男の子は、手の甲で拭っていた。
青山円形劇場でのライブで、曲が流れた瞬間、頭をおろしたまま号泣した女性がいまして、尋常じゃないくらいに。
円形の舞台をまわりながら語りかけるように歌う知可子さんが、その方の前に立ち止まりまた歩きながら歌い続けている。
いつしか震えてつまりながらも歌い続ける姿を見ることに。
知可子さんのそんな姿を見て涙する人もいましたけど、きっと届いたと思う。
ごめんなさいと声を詰まらせる知可子さんに、やまぬ暖かい拍手と声援が会場内を包んでゆく。
泣いた姿のせいじゃないことは、あきらかなことでした。

最後の曲になりました。と、知可子さん。あ~これで終わりかと思ってたら、最後にこれが来るなんて。
「幸せになりなさい」困ってしまうほどの震え、またまたうるうる状態へ。
もう、一生分の涙が出たのではと、思い込んでしまうくらいに。いつも、知可子さんが励ましてくれるように聴いてしまう。
生きて来て。ふとなんか流れにだけにそった時期を後悔したとき、そんなことないよ、
あなたらしさがあるじゃないと、言ってくれているよう。
あなた1人じゃなく、みんなもいるでしょう、みんなもそうなんだから。
こんな感じで聴いてしまう。そして、元気をもらう。
ここまで泣けると戸惑いを超えて、どうもありがとうを言うだけで精一杯に。

「幸せになろう」「恋の唄、うたって・・・」とアンコールに応えてくれた。
演奏をしてくれた、小野澤さん、林さん、岡村美央さんのメンバー紹介。
皆さんのとても素敵な笑顔、満足感いっぱいに表している。
知可子さんも、こぼれんばかりの笑顔、満足感をいっぱいで応えてくれて、終了。
皆さん、素敵な時間を、どうもありがとうございました。