東京都渋谷 ランタンでのライブ(長文です)
渋谷の街を人の流れに逆らいながら、ゆるやかな坂道を登って行く。
一つ路地に入ると、円山町に一軒の八百屋。こんなところに八百屋だ、不思議な感覚になった。
そして、祭りばやしも。お神輿を担ぐ人たち、周りで見ている人たち。
ビルや人ごみを避けたら、四次元のよう。 意外な場面、なんとなくアンバランスな感覚は、何かのまえぶれ?
いつものように前の晩は眠れず、いつものように会場へと向かう自分。
今回は特に期待が膨らみ、いつも以上に興奮気味に。
沢田知可子さん誕生のきっかけと始まりの場所、聖地「ランタン」。
そんな話をずっと応援している人から、聞いたことがありました。
そのころの知可子さんって、どんな感じだったのだろう?ふと、頭の中をよぎる プロ歌手として活動を始め、
全国を周って歌を聴いてもらう。キャンペーンで東奔西走していたでしょうか?
もし、タイムマシンがあるのなら、その頃の知可子さんに会いたい。
そして、応援する自分をそこに置いて、心に刻んでみたい。
過去と自分が応援し始めた間を、空間を埋めてみたいとも。この日の「ランタン」に訪れるまでは。
地下に下りて店内に入る。こじんまりとした空間が落ち着きを感じさせる。
席につき仲間との談笑。だんだんとお客さんが入ってくる。
座席は、大きなテーブル4つに別れていて、奥に音楽業界の方々、その手前にランタンのマスタ-の学生時代の同級生の方々、
次がファンとお店の常連さんが残り2つのテーブルを囲むように座り、ライブが始まるのをそっと待つことに。
心の中にあることがあります。この「ランタン」で、自分が知可子さんの魅力のとりこになった
あの楽曲 「恋人と呼ばせて」を聴いてみたい、聴きたい。でも、今日は新しいアルバムの発表ライブ。
このライブのチケットは、アルバム を買ってもらい、チャージに飲食をしてもられたら良いとのことでした。
だから、次の機会を。いつかきっとこの願いがかなえたなら、心の中の パズルが埋まってくる。
飲食し仲間との談笑の時は、和む心に反して始まる時に近づく自分を無口にして行く。緊張感が高まる。
ピアノの小野澤さん、アコースティクギターの林さん、コーラスには、(旧姓)一木 有佳子さんが所定の位置に登場。
「ランタン」のマスター小川さんのご挨拶から、知可子さんへバトンタッチ。
今回のライブ、拍手のなんとも言えない温かさ、業界話に笑い、感動を味わうような独特の雰囲気が流れ、包まれていました。
ここで、知可子さんの一言に自分の体に衝撃、身震いが走る。
無意識のうちに顔の半分を覆うようなしぐさをして、しばし呆然。
「14年間歌ってこれたのも、小川さん(ランタンのマスター)が、いきなり1000枚 「恋人と呼ばせて」を買ってくれたからだと思ってます。」
慌てて、楽譜を探し始める皆さん。メンバー紹介、ばたばたとする中、笑顔で応える。
知可子さんの突然の思いつきに、喜んでいた自分でした。
普通、段取りに合わせて楽譜も順番に並べて進めて行くものだし、多くの楽曲を記憶を全部記憶するのは、いくらなんでも不可能なこと。
慌てている3人を見ていたら、いくらなんでも無理でしょうとあきらめかけていたら、ピアノの音色が流れて小野澤さん、なんで。
開演前に到着し一番良いところで聴こうと座ったのが、小野澤さんのピアノの前。
椅子を斜めにして、知可子さんの方へ体を向けて座っていた。
いったい何が起きたのかわからなくなってしまう。
確かに、右耳に入ってくるあのイントロ、異常なまでの興奮状態へ。
知可子さんの歌声に幻が現実と化す。
「恋人と呼ばせて」を作詞された門谷憲二氏の観客の中から見て、一曲めを歌おうとその場で決めたとか。
自分は、体を震わせて号泣するように、大粒の涙が止まらなく流れていた。
知可子さんのせつない系の歌に反応してしまう。男の自分がなんでと思うくらいに。
しばらくの間、なにがどうなったのか記憶が定かではなくなっていた。
ただ、「ランタン」で知可子さんの歌声を最高の演奏者とのコラボレーションに酔い、
デビューした時よりも進化し続ける知可子さんを聴いている。
初めて聴いたCDの中のこの一曲を聴いた時がだぶってきた。
そして、空白の時間。いつも、もっと早く応援していたらの思いが消え、初めてこの楽曲を身震いしながら聴いたあの時に戻っていた
。 違うことが一つ。生の歌声と演奏。こんな身近で聴けたこと。
こじんまりとした空間が自分を包み込むように響いてくる。
みなさん、どうもありがとうございます。そんな気持ちでいっぱいに。
一曲めから不意打ちにあったよう。少しづつ知可子ワールドへ入ってゆく自分ですが、
今回は完全に直球がど真ん中に入ってしまった。
初め演出かと思っていたら、知可子さんのMCに出てくる楽曲の楽譜を探す姿が、あまりにもリアル過ぎ?
本当だったようで。 知可子さんが何気に後ろの雰囲気を感じ取りながら、進行している知可子さん。
次は、何を歌ってくれるのかな?これだけでも十分ですなんて思ったり、 心にもないことを感じさせてくれたのでした。
何度も繰り返しアルバム「ラプソティー」を聴き、そのぞれの愛の形を一つ一つかみ締めるように味わい、
登場人物の心の動きや想いを感じ、アルバムを聴いたあとで、 改めて生の歌声を聴くとまた深くその中により入りやすい
淡いものにほんのりしたり、濃いものにうなるように、女性の心の深さをリアルに表す知可子さんのバラードに陶酔して。
「With love」自身の中に嫌なことがあっても、許そうとかこの苦しみを乗り越え、
次に行こうと励ます瞬間、女性の中にある母性がそうさせているのでは?そんな思いを込めて。この中に入り、包まれたいなぁとつい。
「恋の唄、うたって・・・」と続く。 童謡の「しゃぼん玉」をアカペラで歌いあげる。
知可子さんのアカペラを聴くのは、前の新宿のライブだけだったように記憶してます。
あくまで、自分が聴いた範囲ですけど、また違う童謡や楽曲もぜひ。
アルバムの「しゃぼん玉」と対照的なのが、この楽曲「哀しい予感」せつなさが凄い。
淡さと濃さの絶妙さ、そんな感じが強烈に刺激する。 「星影の小径」ラジオで小幡実さんバージョンを聴くことがあり、
オリジナルとカバー との比較、どちらもこの楽曲を大切に歌っているのは、歌手としてはもちろん オリジナルをそこなうことなく、
知可子流の味付けで歌いこなしている。 懐メロ的な要素を含みつつも、今に蘇らせてくれます。
同世代の日とたちへ、伝え残すように。
「gift」を歌う前、頑張れの言葉についての語り。
「愛のある頑張れ」を伝えることが出来ただろうか? 知可子さんからの問いかけが、妙に残ってしまう。
視線に入る観客の男性、片手でグラスを握りしめ、眼をつぶり、火のついた煙草も そのままで。
知可子さんのMCを聞き、歌い始めたころからずっと。その方には、どんな風に伝わったのでしょうか。
「頑張れ」そう、ありきたりに使ってしまう励ましの言葉。ネットの仲間に問いかけをしたら、それぞれの意見をもらいました。
そのなかで、こんな文が。「声をかける人が、どんな思いでかけてくれたのか?その人が自身を心の底から元気づけるように
伝わってくれば、負担になったりしないと。ただ、ありきたりにやみくもに、
こちらの状況を把握しないで言われたときは、これほど辛く辛らつな言い方はないって。」
初めて聴いたのは、ウェイターズという男女に、知可子さんが楽曲を提供した時でした。
初回版1000枚限定マキシシングルCDを入手したとき、ギターの音が聴こえた瞬間 涙が出て来ました。
林さんのアコースティックギターだ!小野澤さんのピアノだ!こんなにも心を暖かくさせてくれる。
2人の歌声と演奏が重なり、ほんと勇気づけられたから。この頃、主人公に近い状態にいた自分。
自らの命を絶つのなら、その力をなんで生きる力にしてくれなかったのと。
自分のらしさの元を作り支えてくれた人だったのに。状態に重なる歌詞、心の動き、繰り返して聴くことが出来なかった。
小淵沢でのコンサートの時、初めて知可子さんの歌声で聴いてぼろぼろになり、
動揺しよみがえる時をさらけだして、助けを求めていた。
新宿センチュリーハイアット内ラウンジ「ラプソティー」でのアルバムの発表ライブ。
その時に「明日へ届け」の楽曲の最後、歌い終わるさびの部分。
感極まった知可子さんにほろりとして、知可子さんの想いを違って捉えてました。
今回も同じように最後のところで、眼にいっぱいの涙を溜めた知可子さん。
それまでじっとこらえていたのでしょう、ここまではいつものような歌声なのに。
MCで知可子さんが語っていたのと、この日の夜、FM横浜でノーカット放送があり、
帰宅してベランダ越しにアンテナを立てて聴いて、再び唖然としたのです。
ライブの余韻が醒めるように。 別のFM放送との混信に、チューニングをしながら聴き入る。
知可子さんの楽曲がBGMに流れて、淡々とお喋りが続く。
ウェイターズのこと、初めてインディーズレーベールから発売の「gift」を発売して、
元アリスの谷村新司さんから「インディーズを使うなよ、インディペンデントだょ」と
歌手の先輩から背中を押してもらい、すごく勇気をもらったこと。そして、有佳子さんの話を。
知可子さんがデビュー当時、カラオケをひっさげて音大生の有佳子さんとの全国へ のキャンぺーンの日々。
有佳子さんがフェスタモードというユニットでデビューしてから、これまでの話。
14年間の月日、知可子さんと有佳子さんとの間にある絆。
「明日へ届け」の楽曲に込められたもの、込められた想いを再び思い出したのです。
前回の新宿でのライブで涙した知可子さん、今回も同じところで涙ぐんでいる。
そのとき、知可子さんを思って書いた詞だと思っていたのに、一瞬で頭の中が真っ白に。
知可子さん、涙を拭いながら話始める。 有佳子さんへ、頑張りなさいよと添えて。
微笑む有佳子さん、2人のお互いを思う気持ちがひしひしと伝わってくる。
21世紀に残したい泣ける名曲ベスト100で、1位に選ばれた「会いたい」。
何度聴いても色あせない感動が波動のように迫る。
小野澤さんと林さんのアコースティックバージョン。
「会いたい」の間奏、こんな真近に聴くことなんて出来ない。
林さんの弦をつま弾く指の動き、なんと表したら良いものか?
絶妙な指使い、指ひとつひとつが生命を受けたように、それによってもたされる音色に酔う。
ライブの後で林さんと話が出来て、どうしても聞きたかったことを質問してみた。
なんで、あんなにも心が暖かくなる音色なんだろう?の問いに答えてくれました。
「人生を長く生きていろんなことがあって、そんな想いを心に込めて弾くように、 心がけているんだけどね。」との
こんな素敵な返事が返ってくるとは。
うん?視線の途中、どうしたのだろう有佳子さん?眼からこぼれんばかりの涙を拭いている。
知可子さんの「会いたい」を聴いて?でも、同じ舞台に立ち演奏する側から、聴き続けているのだけど。
もしかして、知可子さんがなげかけた言葉のせい?
「頑張りなさいよ」と振り向いて声をかけていたっけ。
照れもあったのでしょう、なんでも話あえる関係でも、心の底に届く想いに自分の頭の中が真っ白になる。
新宿のライブの知可子さんの涙の意味は、自分の見方が間違いだったとは、
客観的な視点をしなかった反省とともに、2人の絆をかいまみたのです。 フェスタモードの「最後の約束」を薦められ、
別のファン仲間からのご好意で聴くことが出来、改めて有佳子さんの詞の世界への導かれる。
歌詞カードを読みながら聴いていると、主人公の心の動きがせつなくさせる。
歌詞に深さと微妙な心理を感じさせる。 彼女の作詞は、独自の世界観があり、
心の奥深い部分まで沁みてくる。
有佳子さんの存在は、知可子さんにとって大切な人。
自分をこんな気持ちにさせてくれた人でもあります。
違う意味で自分にも届きました。
そう、絆というつながりが。
最後に、皆でそろって歌える歌を最後に「Day by day」を歌って終わりました。